薩摩焼の発祥と伝統を訪ねて

薩摩焼は400年の歴史で多くの窯元が登場しています!

慶長4年(1599年)、串木野の島平の上陸した朝鮮陶工達は朴平意(1559〜1624)を中心に東方丘陵地に串木野窯(朝鮮式蛇窯)を築いて以来、薩摩の各地で窯元が相次いで築かれています。

発展と退廃を繰り返し、今では薩摩焼の系譜として「苗代川系」「龍門司系」「竪野系」 「西餅田系」「平佐系」と大別されています。これに鹿児島県の種子島の「種子島系」も加わると6つの大きい系譜に分かれるようです。現在では竪野系、苗代川系、龍門司系のみ現存しているとされています。
基本的に薩摩焼という原点は一緒ですが、釉薬の調合や焼き方、焼いた後の模様や触りここち、利用している粘土などが違い、それぞれの特徴がでています。

薩摩焼には大別して「白薩摩(しろさつま)」と「黒薩摩(くろさつま)」があります。 薩摩焼が世界に知れ渡ったのは幕末の1867(慶応3)年です。 鹿児島藩は朴正官が制作した錦手花瓶をパリ万国博覧会に出品しました。更に1873(明治6)年のウィーン万国博覧会に出品された12代沈壽官の作品が好評を博し、名声は飛躍して世界を市場にした錦手が盛況となりました。

この華麗な装飾陶器は「SATSUMA」の商標で輸出され、欧米諸国で特に愛好され日本文化のはしりである「ジャポニズム(日本趣味)」に影響を与えました。

白薩摩(しろさつま)・・・白もん

白薩摩は400年の間、藩主御用達として利用されてきました。上品かつ繊細といった感じです。貫入という表面の細かなヒビが特徴で、黄味がかった白地の肌の赤、青、緑、さらに金彩をほどこした豪華で繊細な作風の金襴手は長く藩主御用達として発展してきた歴史を思わせます。
白い焼肌に彫りの陰影は繊細な逸品として現在でも抹茶椀、香炉、香合、花瓶など高級な薩摩焼として人気があります。日常的に利用する陶器というよりは芸術的なイメージがありますね。白地に赤、青、緑、さらに金を厚く盛った絢爛豪華で精密な金襴手は豪華絢爛の白薩摩独特の気品があります。
写真は苗代川系の流れを汲む日置市(旧東市来町)美山の沈寿官陶苑で彫りをしている方です。繊細な作業をされていました。白薩摩独特の優美な香炉?でしょうか?他の作業の方も非常に細かい作業を集中してされていました。

黒薩摩(くろさつま)・・・黒もん

黒薩摩はその漆黒の黒い焼き色が近年全国的に人気が高い薩摩焼です。焼酎に合う陶器としても人気です。白薩摩に比べて、黒薩摩は庶民的な焼き物としても広く愛されています。 島津義弘公の近くに仕えた鹿児島県加治木の龍門司焼では、この「黒」の技法をさらに発展させ、「玉流し」「三彩」「蛇蜴」「鮫肌」「ベッコウ」などをで黒薩摩でも藩主や上級階級に進呈する陶器を受け継いでいます。 日常的にも、また芸術的な焼き物としても黒薩摩は今、注目を浴びています。
写真は姶良郡加治木町の龍門司焼「次郎太窯」の川原先生のギャラリーの一部です。流し釉の青流しの作品です。漆黒に美しい青が流れている妖艶な陶器ですね!

薩摩焼の苗代川系

慶長4(1599)年、串木野の島平の上陸した朝鮮陶工達は朴平意(1559〜1624)を中心に東方丘陵地に串木野窯を築きました。薩摩焼最初の窯とされています。以来、現在では日置市(旧東市来町)美山地方が苗代川系として有名です。美山には多くの窯元があります。苗代川系の薩摩焼としては白薩摩の優美な陶器が有名のようです。

薩摩焼の龍門司系

朝鮮陶工達の芳珍の子孫山元碗右衛門は、加治木の山元に窯を築き、ついで湯の谷に移った。この後、薩摩藩の保護により小山田高崎に窯を開き、これが龍門司窯のはじまりとなりました。鹿児島県姶良郡加治木町は龍門司焼で有名な町です。龍門司焼は美しい黒薩摩で有名で、他の薩摩焼とは一風変わったと独特な技法を用いています。

薩摩焼の竪野系

金海(星山仲次)は、帖佐にいた島津義弘に召し出され(1601)年に宇都窯を築きました。陶法修業のため瀬戸、美濃地方に出かけ、茶陶を焼くようになったようです。茶碗が多く、朝鮮の白陶土を用い「白薩摩」のもとになりました。豪華絢爛の錦手の開発が進められ、19世紀に入って隆盛を極めました。

薩摩焼の西餅田系

1663年に鹿児島県帖佐の西餅田(現在の姶良郡姶良町)に元立院窯が築かれました。この窯では、蛇蝎釉やどんこ釉と呼ばれる数層に釉を厚くかける独特のものが焼かれました。廃窯後、陶工たちは龍門司窯に移ったといわれています。

薩摩焼の平佐系

川内平佐(せんだいひらさ)の今井儀右衛門が、天草石を購入し、出水の脇本に窯を築き染付白磁を焼いたことが始まりのようです。1810年には、平佐大窯が築かれ盛況を呈しました。色絵や染付を中心とした華麗な装飾磁器が展開されました。

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